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旅行・宿泊の上場主要企業の業績|連結売上と利益の比較【2026年版】

旅行・宿泊業界の上場主要7社を、連結業績で比較します。比較する7社は、旅行業系(エイチ・アイ・エス・KNT-CTホールディングス・エアトリ・オープンドア)と宿泊業系(リゾートトラスト・共立メンテナンス・藤田観光)に分かれます。連結売上が最も大きいのはエイチ・アイ・エス(3,731億円)で、KNT-CTホールディングス・リゾートトラスト・共立メンテナンスが続きます。各社はコロナ禍で売上が大きく落ち込み赤字に転落した社も多くありましたが、2023年以降の旅行需要の回復とともに業績を取り戻し、足元では増収・増益が広がっています。収益性(ROE)でみると、藤田観光や共立メンテナンスなど宿泊業系が高く、売上規模と収益性は必ずしも一致しません。なお数値は全社連結ベースで、旅行・宿泊以外の事業を含む会社もあり、また各社の決算期が異なる(10月期・12月期・9月期・3月期)点にも注意が必要です。売上規模・利益・収益性と、旅行業系・宿泊業系の違いを整理します。

上場主要7社の連結業績と業態

上場7社の連結業績(各社の直近通期=FY2025、全社連結ベース)。各社の決算期が異なるため対象期間(暦月)は社により異なり、同一期間の厳密な比較ではありません

数値は各社の連結財務(直近通期、FY2025)に基づき、連結売上・営業利益・純利益は億円単位、ROEは各社の公表値です。決算期は社により異なり(エイチ・アイ・エス=10月期、藤田観光=12月期、エアトリ=9月期、KNT-CT・リゾートトラスト・共立・オープンドアは3月期)、同じFY2025でも対象となる暦月がずれるため、同一期間の厳密な比較ではない点に注意が必要です。なお3月期の4社は2026年3月期の決算も公表済で、いずれも増収となっています(KNT-CTは2,971億円、共立メンテナンスは2,752億円、リゾートトラストは2,630億円)。本表は7社の対象期間をできるだけそろえるため、各社の直近通期(FY2025)で並べています。

連結売上
3,731
営業利益
116
純利益
47
ROE
8.8
連結売上
2,745
営業利益
60
純利益
77
ROE
16.1
連結売上
2,493
営業利益
264
純利益
201
ROE
14.7
連結売上
2,289
営業利益
205
純利益
146
ROE
15.7
藤田観光
宿泊業
連結売上
820
営業利益
138
純利益
93
ROE
25.2
エアトリ
旅行業
連結売上
281
営業利益
31
純利益
18
ROE
12.3
連結売上
24
営業利益
-1
純利益
-1
ROE
-2.6

旅行業系 — エイチ・アイ・エス・KNT-CT・エアトリ・オープンドア

エイチ・アイ・エスは、連結売上3,731億円と7社で最大規模の旅行会社です。海外旅行に強みを持つ一方、連結にはハウステンボスなどのテーマパークやエネルギー事業も含まれてきました。コロナ禍で海外旅行が止まり大きな赤字を計上しましたが、回復とともに営業損益は黒字化しています。ただし純利益はまだ薄く、ROEは8.8%で、規模に対して収益性の回復はこれからの局面です。

KNT-CTホールディングス(近畿日本ツーリスト+クラブツーリズム)は連結売上2,745億円、ROE16.1%で、国内・団体旅行やシニア向けの趣味・体験型旅行に強みがあります。コロナ禍では官公庁向けのワクチン接種業務の受託などで急場をしのぎ、足元では本業の回復が進んでいます。2026年3月期は2,971億円とさらに増収です。

エアトリ(連結売上281億円、ROE12.3%)は、航空券を中心としたオンライン旅行に、IT・投資事業を組み合わせた構成です。オープンドア(連結売上24億円)は旅行比較メタサーチ「トラベルコ」を運営しますが、広告投資の負担などから営業損益は赤字が続いており、規模・収益性とも他の6社とは大きく異なります。

宿泊業系 — リゾートトラスト・共立メンテナンス・藤田観光

リゾートトラストは、会員制リゾートホテル「エクシブ」を中核に、ホテル・レストランやメディカル(会員制の医療・健診)事業を展開し、連結売上2,493億円、ROE14.7%と高い収益性を確保しています。会員権の販売を伴うビジネスモデルで、景気の影響を受けつつも安定した会員基盤を持つのが特徴です。2026年3月期は2,630億円と増収を続けています。

共立メンテナンスは、温泉大浴場が特徴のビジネスホテル「ドーミーイン」と、学生寮・社員寮を二本柱とし、連結売上2,289億円、ROE15.7%です。ホテルの高稼働と寮事業の安定収益を組み合わせ、コロナ後の回復が鮮明です。2026年3月期は2,752億円とさらに伸びています。

藤田観光は、「ホテル椿山荘東京」やワシントンホテルなどを展開し、連結売上820億円と規模は宿泊3社では小さいものの、ROEは25.2%と7社で最も高い水準です。コロナ禍で大きく落ち込んだ後、不採算事業の整理と都市部ホテルの高稼働・単価上昇で、収益性が大きく改善しました。

主要論点

売上規模と収益性(ROE)は一致するのか?

一致しません。連結売上が最大のエイチ・アイ・エスはROE8.8%で、規模に対して収益性の回復はこれからの局面にあります。一方、売上規模では小さい藤田観光がROE25.2%、共立メンテナンスが15.7%、リゾートトラストが14.7%と、高い収益性を示しています。

背景には、事業モデルと回復局面の違いがあります。会員制や直営ホテルで単価・稼働を高めやすい宿泊業系は収益性が高く、海外旅行の回復途上にある旅行会社は、売上が戻っても利益率の回復には時間がかかります。

つまり、規模のランキングと収益性のランキングは別物です。売上の大きさだけでなく、ROEに表れる「稼ぐ力」を併せて見ることで、各社の実力を立体的に把握できます。

「連結売上」をどう読めばよいか?

各社の数値は全社連結ベースで、旅行・宿泊以外の事業を含む会社があります。エイチ・アイ・エスの連結にはテーマパークやエネルギー事業が、リゾートトラストにはメディカル事業が含まれます。そのため、連結売上をそのまま「旅行・宿泊の売上」と読むと、事業範囲の広い会社を実際より大きく捉えてしまう可能性があります。

また、連結売上は会計上の収益であり、旅行会社が販売した旅行の取扱額(旅行業の販売額)とは別の概念です。取扱額は「旅行をいくら売ったか」、連結売上は「会計上いくらの収益を計上したか」を表し、両者は一致しません。

さらに、各社の決算期が異なる(10月期・12月期・9月期・3月期)ため、同じ「直近の通期」でも対象期間がずれます。業績を比べる際は、事業範囲・指標の定義・決算期の違いを踏まえる必要があります。

コロナ禍からの回復はどの程度進んだか?

7社はいずれもコロナ禍で売上が大きく落ち込み、赤字に転落した社も多くありました。2023年以降の旅行需要の回復とともに、各社の売上は戻り、足元では増収・増益が広がっています。宿泊業系(リゾートトラスト・共立メンテナンス・藤田観光)は、都市部ホテルの高稼働と単価上昇を背景に、収益性がコロナ前を上回る水準まで改善した社もあります。

旅行会社系では、KNT-CTホールディングスが本業の回復を進める一方、海外旅行に依存するエイチ・アイ・エスは売上の戻りに対して利益率の回復が遅れています。オープンドアのように、回復局面でも先行投資で赤字が続く社もあります。

3月期の4社(KNT-CT・共立・リゾートトラスト・オープンドア)は2026年3月期の決算も公表済で、いずれも増収です。回復の度合いは事業モデルによって差があり、単純な「業界全体の回復」ではなく、各社の戦略と事業構成の違いが業績に表れています。

中期見通し

近未来1-2年

2026-2027年は、インバウンドの拡大と国内の単価上昇が各社の業績を支えるとみられます。とくに都市部ホテルを持つ宿泊業系は、高稼働と単価上昇で増収・増益が続く見通しです。海外旅行に強い旅行会社は、円安や費用の高止まりが和らげば、売上の戻りに利益率の回復が伴うかが焦点です。

中期3-5年

中期では、事業モデルごとの収益性の差が一段と表れます。会員制・直営で単価を高めやすい宿泊業系、業態転換やデジタル化で稼ぐ旅行会社、オンライン専業など、各社の戦略の巧拙が業績差となります。人件費の上昇への対応や、省人化・高付加価値化への投資が、収益性を左右します。

長期

長期では、人口減少を背景とした国内市場の成熟のなかで、海外展開・インバウンド・高付加価値化にどう取り組むかが各社の成長を決めます。規模の拡大だけでなく、ROEに表れる稼ぐ力と財務の健全性を高められる企業が、中長期で優位に立つと考えられます。

よくある質問

旅行・宿泊で連結売上が最も大きい上場企業はどこですか?
連結売上ではエイチ・アイ・エスが最大で、直近通期(FY2025)の連結売上は約3,731億円です。続いて、KNT-CTホールディングス(約2,745億円)、リゾートトラスト(約2,493億円)、共立メンテナンス(約2,289億円)が並びます。いずれも全社連結ベースで、旅行・宿泊以外の事業を含む会社もあります。
収益性(ROE)が高いのはどの会社ですか?
直近通期(FY2025)の公表ROEでは、藤田観光が25.2%で最も高く、共立メンテナンス(15.7%)、リゾートトラスト(14.7%)が続きます。一方、売上最大のエイチ・アイ・エスは8.8%で、売上規模と収益性は必ずしも一致しません。
「連結売上」と旅行業の「取扱額」は違うのですか?
はい、異なります。連結売上は各社の会計上の収益で、旅行・宿泊以外の事業も含みます。一方、旅行業の取扱額は旅行会社が販売した旅行の取扱額(旅行をいくら売ったか)で、別の概念です。両者は集計の基準が異なるため、単純に比較したり対応させたりはできません。主要旅行業者の取扱額は別ページで整理しています。
各社の決算期は同じですか?
異なります。エイチ・アイ・エスは10月期、藤田観光は12月期、エアトリは9月期、KNT-CTホールディングス・リゾートトラスト・共立メンテナンス・オープンドアは3月期です。そのため、同じ「直近の通期(FY2025)」でも対象となる暦月がずれ、同一期間の厳密な比較ではない点に注意が必要です。
各社の業績データの出典は何ですか?
各社の連結財務(EDINET由来、直近通期=FY2025)に基づく値です。連結売上・営業利益・純利益は億円単位で、ROEは各社の公表値を用いています。3月期の4社は2026年3月期の決算も公表済で、いずれも増収となっていますが、本表は7社の対象期間をそろえるため各社の直近通期(FY2025)で比較しています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    各社 連結財務(EDINET由来、直近通期=FY2025)
  2. 2.
    3月期4社の2026年3月期決算短信・決算説明資料
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