学習塾・予備校業界の市場規模・主要企業・動向
日本の学習塾・予備校業界は、市場規模が約1兆円で長らく横ばいのなか、少子化を背景に生徒を集める塾と退出する塾の二極化が進んでいます。
学習塾・予備校業界とは、小学生から高校生を対象に、集団指導・個別指導・映像授業などの形態で受験対策や学校の補習を担い、授業料を主な収入とする産業です。学習塾・予備校の推計市場規模は矢野経済研究所の推計で約9,850億円、1兆円前後の横ばいが続いています。一方、東京商工リサーチが主要396社を集計した売上高は2023年度に5,431億円で、これは市場全体ではなく主要事業者の合計にあたり、赤字企業の割合は31.8%へ上昇しました。通塾対象の小・中学生数が過去最少を更新するなか、生徒募集の競争激化、M&Aや非公開化による再編、デジタル学習への対応が業界共通の論点です。本ページでは、日本の学習塾・予備校業界を、市場規模と少子化、業界構造と再編、指導形態、集客、EdTechの5軸で整理します。
業界サマリ
業界概要
学習塾・予備校業界とは、小学生から高校生を対象に、集団指導・個別指導・映像授業などの形態で受験対策や学校の補習を担い、授業料を主な収入とする産業です。推計市場規模は約9,850億円で1兆円前後の横ばいが続き、少子化のなかで生徒を集める塾と退出する塾の二極化が進んでいます。
- 市場規模は矢野経済研究所の推計で約9,850億円、1兆円前後の横ばいが続いています。学習塾を含む教育産業市場は2024年度に2兆8,556億円で、学習塾・予備校はその最大分野ですが、少子化を背景に伸び悩んでいます。
- 集団指導・個別指導・映像授業・オンラインといった多様な形態の事業者が活動しています。法人だけで全国に約18,850事業所があり、個人経営の塾も多数併存するため、上場大手でも全国シェアは小さい分散した業界です。
- 少子化のなかで生徒を集める塾と退出する塾の二極化が進んでいます。主要396社では赤字企業の割合が31.8%へ上昇し、2024年には倒産・休廃業も増えるなど、集客をめぐる競争が激しくなっています。
市場動向
学習塾・予備校市場は矢野経済研究所の推計で約9,850億円、長期的に横ばいが続いています。需要側では少子化で通塾対象の小・中学生数が過去最少となる一方、主要事業者の売上は微増にとどまり、赤字企業が増える二極化が進んでいます。
- 矢野経済研究所の推計で市場規模は約9,850億円、教育産業市場全体の2兆8,556億円のうち最大分野です。ただし調査ごとに集計範囲が異なり、経済センサスによる法人学習塾の売上は8,446億円となっています。
- 東京商工リサーチが集計した主要396社の売上高は2023年度に5,431億円で、前年比1.0%増にとどまっています。これは市場規模ではなく主要事業者の合計で、赤字企業の割合は31.8%へ上昇しています。
- 少子化で通塾対象人口は縮小しています。2025年の小学生は581万人、中学生は310万人でいずれも過去最少となり、ピーク時の4〜5割の水準まで減少しています。
競争環境
日本の学習塾・予備校業界では、集団指導・個別指導・映像授業・オンラインといった多様な事業形態のプレイヤーが活動しています。上場大手でも全国シェアは小さく、個人経営の塾を含めて極めて分散した構造のなかで、生徒獲得競争・M&Aや非公開化による再編・デジタル学習への対応が主要な論点となっています。
- 上場大手は事業形態ごとに分かれています。集団指導の早稲田アカデミー・ステップ・学究社、個別指導の明光ネットワークジャパン・リソー教育、映像の東進を展開するナガセ、保育・介護にも広げる京進などがあり、いずれも全国シェアは小さく、地域塾や個人塾が数多く併存します。
- 大学受験の三大予備校である駿台・河合塾・代々木ゼミナールは学校法人で、上場企業とは開示の仕組みが異なります。財務情報が公開されないため、合格実績や校舎情報をもとに位置づけを整理します。
- 少子化のなかで再編の動きが続いています。東京個別指導学院がベネッセの完全子会社化により2026年1月に、ウィザスが投資ファンドによる買収により2025年9月に、それぞれ上場廃止となりました。
市場規模推移
2019-2023 · 主要学習塾396社の売上高主要学習塾396社の売上高推移(億円)
| 年度 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 |
|---|---|---|---|---|---|
| 主要学習塾396社の売上高(億円) | 5,149 | 4,918 | 5,215 | 5,373 | 5,431 |
市場規模には、調査ごとに性格の異なる複数の数字があります。矢野経済研究所の推計では、学習塾・予備校市場は約9,850億円で、1兆円前後の横ばいが続いており、これが市場全体の規模にあたります。同社の推計で学習塾を含む教育産業市場(主要15分野)は2024年度に2兆8,556億円です。一方、東京商工リサーチが主要396社を集計した売上高は2023年度に5,431億円で、こちらは市場全体ではなく主要事業者の合計で、個人経営の塾などは含みません。
市場が伸び悩む背景には、少子化による通塾対象人口の縮小があります。2025年の小学生は581万人、中学生は310万人でいずれも過去最少となり、ピーク時の4〜5割の水準まで減りました。供給側をみると、経済センサスによる法人経営の学習塾は全国に約18,850事業所あり、その売上は8,446億円です。
市場全体が横ばいで推移するなかでも、塾ごとの業績は分かれています。主要396社の売上は2019年度の5,149億円から2023年度の5,431億円へ緩やかに増えた一方、赤字企業の割合は26.0%から31.8%へ上昇しました。2024年には学習塾の倒産が53件、休廃業・解散が195件へ増え、生徒を集められる塾と退出する塾の差が広がっています。
上場企業でも再編が進みました。個別指導の東京個別指導学院はベネッセホールディングスの完全子会社化により2026年1月に、通信制高校も手がけるウィザスは投資ファンドによる買収により2025年9月に、それぞれ上場廃止となりました。少子化のなかでの規模拡大や事業の立て直しを目的とした動きとみられます。
需要側からみると、世帯が子供1人に支払う学習塾費は学校種別で大きく異なります。文部科学省の調査では、年間の学習塾費は公立小学校で約7.5万円、私立小学校で約25.9万円となり、学年が上がるほど増えて私立小学校6年生では中学受験を背景に最大の約44.3万円に達します。
中学校では公立(約23万円)が私立(約16.8万円)を上回ります。これは高校受験に向けて公立中学校の生徒が学習塾に通う傾向を映したものです。少子化で子供の数は減る一方、1人当たりの教育費支出は底堅く、都市部を中心とした中学受験の広がりが通塾需要を支えています。
主要トピック
業界構造
主要プレイヤー / サプライヤー / 流通 / 需要学習塾・予備校業界は、集団指導・個別指導・映像授業・オンラインという複数の事業形態で成り立っています。集団指導は受験対策の進学塾や予備校に多く、個別指導は生徒のペースに合わせた指導を、映像授業は録画した授業を全国に届ける仕組みを担っています。
事業者の規模はさまざまで、法人だけで全国に約18,850事業所があり、ここに個人経営の塾が多数加わります。1〜9人規模の小さな事業所が事業所数の過半を占め、上場大手から地域の個人塾まで幅広いプレイヤーが併存する分散した構造です。
上場している学習塾は、事業形態ごとに分かれています。集団指導では早稲田アカデミー・ステップ・学究社、個別指導では明光ネットワークジャパン・リソー教育、映像では東進を展開するナガセ、保育・介護にも事業を広げる京進などが知られています。大学受験では学校法人の三大予備校(駿台・河合塾・代々木ゼミナール)も大きな存在です。
ただし上場大手でも全国シェアは小さく、特定の企業が市場を寡占する構造にはなっていません。少子化のなかで生徒を集める塾と退出する塾の二極化が進み、合格実績や立地、集客力をめぐる競争が各社の業績を左右しています。
業界を取り巻く最も大きな環境要因は少子化です。通塾対象となる小・中学生数は過去最少を更新し、2025年の小学生は581万人、中学生は310万人でピーク時の4〜5割の水準まで減りました。需要母数が縮むなか、各社は多角化やデジタル化で対応を進めています。
集客や広告については、業界団体の全国学習塾協会が合格実績の表示などに関する自主基準や認証制度を設けています。前払いの受講料や中途解約をめぐっては景品表示法・特定商取引法による消費者保護の枠組みもあり、誇大な広告や実績表示が起きないよう一定のルールが置かれています。
業界の3大論点
学習塾にとって生徒募集は経営の生命線です。少子化で通塾対象となる小・中学生が減り続けるなか、限られた生徒を奪い合う競争が激しくなっています。塾を探す保護者の入口はデジタルへ移り、塾ポータルサイトには約11万教室が掲載され、口コミや合格実績の比較が一般的になりました。
集客のチャネルは複数あります。チラシの折り込みやポスティングは地域密着の塾が今も使う手段ですが、反応率は高くありません。これに加えて、合格実績の訴求、春期・夏期・冬期の季節講習を入口とした入会導線、検索・地図サービスや口コミサイトでの露出、SNSや動画などのデジタル集客が広がっています。全国学習塾協会は、合格実績の表示などについて広告の自主基準を設けています。
生徒獲得の巧拙が業績を大きく左右します。主要396社では2024年に倒産が53件、休廃業・解散が195件へ増える一方、新たに設立される法人も年500件前後あり、参入と退出が同時に進んでいます。立地や評判、デジタル集客への対応力が、伸びる塾と苦戦する塾を分ける要因となっています。
学習塾・予備校業界は、法人だけで全国に約18,850事業所があり、個人経営の塾も多数併存する極めて分散した業界です。上場大手でも全国シェアは小さく、特定の企業が市場を寡占する構造にはなっていません。それでも近年は、規模の拡大や事業の立て直しを目的とした再編が目立っています。
背景には少子化と二極化があります。通塾対象人口が縮小するなか、主要396社では赤字企業の割合が31.8%へ上昇し、単独で生き残る難しさが増しています。こうしたなかで、M&Aによる校舎網の取り込み、フランチャイズによる展開、親会社による完全子会社化、投資ファンドによる買収と非公開化といった動きが起きています。
上場企業でも具体例が続きました。個別指導の東京個別指導学院はベネッセホールディングスの完全子会社化で2026年1月に、通信制高校も手がけるウィザスは投資ファンドによる買収で2025年9月に、それぞれ上場廃止となりました。分散した業界のなかでも、規模や事業の幅を確保しようとする動きが今後も続くとみられます。
オンライン学習やEdTechの広がりは、従来型の塾に新たな競争と選択肢をもたらしています。代表例がリクルートのスタディサプリで、コロナ禍の2020年度には有料会員が約157万人へ倍増したと各社決算報道で伝えられ(近年は会員数を個別開示せず)、低価格の映像授業を全国どこからでも受けられる仕組みを広げました。AIを使って一人ひとりの理解度に合わせて問題を出すアダプティブ学習も実用化が進んでいます。
従来の塾との関係は、競合と補完の両面があります。低価格で時間や場所に縛られないオンラインは対面指導の代替となる一方、質問対応や学習管理、進路相談、仲間と学ぶ環境といった対面ならではの価値も見直されています。多くの塾は、映像授業やオンラインを取り入れつつ対面と組み合わせる形を採り始めています。
各社の対応は分かれています。映像授業を主力とする塾、個別指導にデジタル教材を組み合わせる塾、対面の価値を前面に出す塾など、戦略の違いが鮮明になっています。少子化で生徒数が減るなか、デジタルをどこまで活用して効率と質を両立させるかが、中長期の競争力を左右する見通しです。
よくある質問 (FAQ)
日本の学習塾・予備校の市場規模はどれくらいですか?
なぜ市場は横ばいなのに二極化が進むのですか?
学習塾の主要な企業にはどんな会社がありますか?
集団指導と個別指導はどう違いますか?
学習塾費は学校種別でどれくらいかかりますか?
学習塾はどうやって生徒を集めているのですか?
スタディサプリなどのオンライン学習は塾とどう違いますか?
少子化で学習塾業界は今後どうなりますか?
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