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上場学習塾の主要企業の業績比較|事業形態別の規模と収益性【2026年版】

学習塾・予備校で上場している主要企業を、事業形態(集団指導・個別指導・映像・多角化)ごとに、最新通期(連結)の売上高・営業利益・純利益・ROE・自己資本比率で比べます。各社の数値は連結全社のもので、売上規模が最大のナガセ(553億円)から進学会ホールディングス(62億円)まで幅があり、規模の順位と収益性の高さは必ずしも一致しません。

上場学習塾・予備校の連結業績と事業形態(最新通期)

各社の連結全社ベース。京進は保育・介護等の隣接事業を含む。売上順位は全社規模を示し、学習塾事業のみの規模ではない

連結業績では、売上規模は映像・総合のナガセ(553億円)が最大で、集団指導の早稲田アカデミー(351億円)、個別指導のリソー教育(334億円)・明光ネットワークジャパン(248億円)が続きます。一方、収益性をみると、神奈川地盤のステップは営業利益38億円・自己資本比率89.7%、学究社はROE27.0%と、規模が中位でも高い収益性を示す企業があります。京進の売上には保育・介護等の隣接事業が含まれ、進学会ホールディングスは最新通期が営業赤字でした。役割・類型の列のとおり、事業形態によって収益の構造が異なるため、売上の単純な順位だけでは各社の強さは測れません。

ナガセ
映像「東進」と四谷大塚・早稲田塾
役割・類型
映像・総合
売上高
553億円
営業利益
49億円
純利益
20億円
ROE
6.5%
自己資本比率
34.6%
早稲田アカデミー
首都圏地盤、中学・高校受験
役割・類型
集団指導
売上高
351億円
営業利益
35億円
純利益
23億円
ROE
15.9%
自己資本比率
62.0%
リソー教育
完全1対1「TOMAS」と家庭教師
役割・類型
個別指導
売上高
334億円
営業利益
29億円
純利益
17億円
ROE
17.1%
自己資本比率
54.1%
京進
保育・介護・日本語教育にも展開
役割・類型
多角化
売上高
265億円
営業利益
5億円
純利益
1億円
ROE
2.4%
自己資本比率
17.7%
明光ネットワークジャパン
個別「明光義塾」最大手、FC中心
役割・類型
個別指導
売上高
248億円
営業利益
17億円
純利益
17億円
ROE
14.7%
自己資本比率
65.7%
ステップ
神奈川地盤、高い利益率で知られる
役割・類型
集団指導
売上高
158億円
営業利益
38億円
純利益
27億円
ROE
10.0%
自己資本比率
89.7%
成学社
関西で「開成教育セミナー」と個別
役割・類型
集団・個別
売上高
143億円
営業利益
8億円
純利益
5億円
ROE
12.6%
自己資本比率
40.7%
学究社
「ena」都立中高一貫・難関高校
役割・類型
集団指導
売上高
133億円
営業利益
26億円
純利益
19億円
ROE
27.0%
自己資本比率
60.3%
秀英予備校
静岡地盤の集団と映像「秀英iD」
役割・類型
集団指導
売上高
107億円
営業利益
4億円
純利益
3億円
ROE
6.7%
自己資本比率
48.1%
進学会ホールディングス
北海道地盤の集団指導「進学会」
役割・類型
集団指導
売上高
62億円
営業利益
-4億円
純利益
-6億円
ROE
-5.9%
自己資本比率
39.4%

集団指導 — 早稲田アカデミー・ステップ・学究社・秀英・進学会

集団指導を主力とする上場企業は、地域に密着しながら受験対策で実績を競っています。早稲田アカデミー(売上351億円)は首都圏を地盤に中学・高校受験で知られ、5社の中では売上が最大です。ステップは神奈川県に集中して展開し、売上158億円ながら営業利益38億円・自己資本比率89.7%と、高い収益性と財務の健全性で知られます。

学究社は「ena」を展開し、都立中高一貫校や難関高校受験を強みに、東京西部を地盤とします。売上133億円に対しROEが27.0%と高く、地域特化で効率の良い経営を示します。秀英予備校は静岡を地盤に集団指導と映像「秀英iD予備校」を組み合わせ、進学会ホールディングスは北海道を地盤としますが、最新通期は営業赤字となりました。

集団指導は、1人の講師が複数の生徒を教えるため1人当たりの授業料を抑えやすく、地域で生徒を集められれば効率の良い収益を上げられます。一方、少子化で地域の生徒数が減ると影響を受けやすく、ステップや学究社のように特定地域で強い地位を築いた企業と、地盤の生徒減に直面する企業とで、収益性に差が出ています。

個別指導 — 明光ネットワークジャパン・リソー教育

個別指導を主力とする上場大手は、明光ネットワークジャパンリソー教育です。明光ネットワークジャパン(売上248億円)は個別指導「明光義塾」の最大手で、フランチャイズ中心に全国へ展開し、日本語学校も手がけます。フランチャイズは加盟教室が出店資本を負担するため、本部は資本を抑えて教室網を広げられます。

リソー教育(売上334億円)は完全1対1の進学個別指導「TOMAS」と家庭教師を主力とし、首都圏の中学・高校・大学受験で高い合格実績を訴求します。完全1対1は授業料が高めですが、難関校受験の付加価値で支持を集めています。

個別指導は、講師1人が1〜数人の生徒を教えるため生徒のペースや弱点に合わせやすい一方、講師の人件費がかかり、授業料は集団指導より高めになります。明光のフランチャイズ型と、リソーの完全1対1の直営型では、出店の速さと収益の取り込み方が異なり、同じ個別指導でも事業モデルに違いがあります。

映像・総合/集団+個別 — ナガセ・成学社

ナガセ(売上553億円)は、映像授業「東進ハイスクール・東進衛星予備校」を主力に、中学受験の四谷大塚、早稲田塾などを傘下に持つ、上場学習塾で最大の売上規模を持つ企業です。録画した質の高い授業を全国の校舎やオンラインで配信する映像授業は、講師を全国に配置せずに展開できるのが特徴です。

成学社(売上143億円)は関西を地盤に、集団指導の「開成教育セミナー」と個別指導の「フリーステップ」を組み合わせて展開します。集団と個別の双方を持つことで、生徒の学年や目的に応じた選択肢を提供しています。

ナガセは、映像授業に加え対面の校舎運営や中学受験の四谷大塚まで含む総合的な事業構成で、売上規模は大きいものの、校舎網の運営費などから営業利益49億円・自己資本比率34.6%と、収益性は集団指導の上位企業ほど高くありません。規模の大きさと収益性が必ずしも比例しないことを示す例です。

多角化 — 京進

京進(売上265億円)は、学習塾を主力としながら、日本語教育・保育・介護などの隣接事業へ事業を広げる多角化を進めています。少子化で学習塾の生徒数が伸び悩むなか、人口動態の異なる事業へ展開することで、グループ全体の成長余地を確保しようとしています。

そのため、京進の連結売上には学習塾以外の隣接事業の売上が含まれており、売上の大きさがそのまま学習塾事業の規模を示すわけではありません。保育や介護は学習塾とは収益構造や利益率が異なるため、最新通期の営業利益5億円・ROE2.4%には、多角化の途上にある事業の収益性も反映されています。

多角化は、少子化という学習塾業界共通の逆風に対する一つの対応策です。京進のように隣接事業へ広げる動きは、本業の生徒数減を別の事業で補う狙いがありますが、異なる事業を束ねる分、グループ全体の収益性は学習塾専業の上位企業とは異なる形になります。

主要論点

なぜ売上規模と収益性の高さが一致しないのか?

上場学習塾の業績をみると、売上が大きい企業が必ずしも収益性も高いわけではありません。売上規模では映像・総合のナガセ(553億円)が最大ですが、営業利益は49億円・自己資本比率は34.6%にとどまります。一方、神奈川地盤のステップは売上158億円ながら営業利益38億円・自己資本比率89.7%と、規模が中位でも高い収益性と財務の健全性を示します。

背景には、事業形態と地域戦略の違いがあります。特定地域に集中して校舎網を効率的に運営する企業は、生徒の集まりがよければ高い利益率を確保できます。一方、全国展開や総合的な事業構成を持つ企業は、校舎運営費や多様な事業のコストがかかり、売上規模のわりに利益率が抑えられる傾向があります。

さらに、京進のように多角化で隣接事業を含む企業や、最新通期が営業赤字となった進学会ホールディングスのように、地盤の生徒数減の影響を受ける企業もあります。売上の順位だけでなく、事業形態・地盤・収益構造をあわせて見ることで、各社の強さが見えてきます。

集団指導・個別指導・映像で収益構造はどう違うのか?

事業形態によって、収益の上がり方とコストの構造が異なります。集団指導は、1人の講師が複数の生徒を教えるため1人当たりの授業料を抑えやすく、地域で生徒を集められれば効率の良い収益を上げられます。ステップや学究社のように特定地域で強い地位を築いた集団指導の企業は、高い利益率を確保しています。

個別指導は、講師1人が1〜数人を教えるため生徒に合わせやすい一方、講師の人件費がかかり授業料は高めになります。明光ネットワークジャパンはフランチャイズ中心で本部の資本負担を抑えて教室網を広げ、リソー教育は完全1対1の直営で難関校受験の付加価値を訴求するなど、同じ個別指導でも事業モデルが分かれます。

映像授業は、録画した授業を全国に配信するため、講師を各地に配置せずに展開できます。ナガセの東進が代表例ですが、校舎網の運営費などもかかるため、売上規模に対する利益率は集団指導の上位企業ほど高いとは限りません。事業形態の選択が、各社の収益構造を形づくっています。

地盤・地域への集中は業績にどう影響するのか?

上場学習塾の多くは、特定の地域を地盤としています。神奈川のステップ、東京西部の学究社、静岡の秀英予備校、北海道の進学会ホールディングス、関西の成学社など、地域に密着した展開が目立ちます。地域集中には、強みと弱みの両面があります。

強みは、特定地域で校舎網を効率的に運営し、地域での評判や合格実績を積み上げられることです。ステップ(自己資本比率89.7%)や学究社(ROE27.0%)のように、地盤での強い地位が高い収益性につながっている例があります。地域に集中することで、講師の配置や校舎運営、口コミの広がりで効率を高められます。

一方、弱みは、地盤の少子化や競争激化の影響を直接受けることです。地域の生徒数が減れば、全国展開の企業よりも影響が大きくなります。最新通期で営業赤字となった進学会ホールディングスのように、地盤の環境変化が業績に表れる場合もあります。地域集中の巧拙が、各社の収益性を左右しています。

中期見通し

近未来1-2年

各社の業績は、地盤での生徒募集と事業形態ごとの効率に左右される見通しです。特定地域で強い地位を持つ集団指導の企業は収益性を保ちやすい一方、地盤の生徒数減に直面する企業は厳しさが続くとみられます。映像・オンラインを取り込む動きや、個別指導のフランチャイズ展開も各社で進む見通しです。

中期3-5年

中期では、少子化を背景に、多角化とデジタル化への対応が業績の差につながると考えられます。京進のように隣接事業へ広げる企業や、映像・オンラインを強める企業が、本業の生徒数減を補おうとする動きが続く見通しです。地域集中の強みを保ちつつ、新たな成長領域をどう確保するかが問われます。

長期

長期では、通塾対象人口の縮小が各社の収益基盤に影響します。地盤での強い地位や、付加価値の高い指導、多角化やデジタルへの対応力を持つ企業が残っていくとみられます。規模の大きさよりも、収益構造の強さと環境変化への対応力が、長期の業績を左右すると考えられます。

よくある質問

上場している学習塾で売上が一番大きいのはどこですか?
上場学習塾で売上規模が最大なのは、映像授業「東進」を展開するナガセで、最新通期の連結売上は553億円です。ただしこれは映像授業に加え、中学受験の四谷大塚や早稲田塾などを含む連結全社の数値です。次いで早稲田アカデミー(351億円)、リソー教育(334億円)、明光ネットワークジャパン(248億円)が続きます。
収益性が高い学習塾はどこですか?
規模は中位でも収益性が高い企業として、神奈川地盤のステップ(自己資本比率89.7%・営業利益38億円)や、「ena」を展開する学究社(ROE27.0%)が挙げられます。いずれも特定地域に集中し、校舎網を効率的に運営することで高い利益率を確保しています。売上規模の順位と収益性の高さは必ずしも一致しません。
京進の売上には何が含まれていますか?
京進の連結売上(265億円)には、学習塾事業に加えて、日本語教育・保育・介護などの隣接事業の売上が含まれます。少子化で学習塾の生徒数が伸び悩むなか、人口動態の異なる事業へ多角化しているためです。そのため、売上の大きさがそのまま学習塾事業の規模を示すわけではない点に注意が必要です。
集団指導と個別指導で経営の特徴はどう違いますか?
集団指導は1人の講師が複数の生徒を教えるため授業料を抑えやすく、地域で生徒を集められれば効率の良い収益を上げられます(ステップ・学究社など)。個別指導は講師1人が1〜数人を教えるため授業料は高めで、明光ネットワークジャパンはフランチャイズ中心、リソー教育は完全1対1の直営と、同じ個別指導でも事業モデルが分かれます。
駿台・河合塾などの大手予備校が比較表にないのはなぜですか?
大学受験の三大予備校である駿台・河合塾・代々木ゼミナールは、いずれも学校法人が運営しており、株式会社の上場企業とは開示の仕組みが異なります。財務情報を上場企業のようには公開していないため、売上や利益で比較することができず、この上場企業の業績比較表には含めていません。これらの位置づけは業界構造のページで整理しています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    EDINET(金融庁)上場学習塾・予備校10社 有価証券報告書
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