戸建住宅業界の市場規模・主要企業・動向
日本の戸建住宅は新築着工の減少が続き、2025年に持家・分譲一戸建で約31.7万戸となり、注文住宅と建売を多様な事業者が供給する産業です
戸建住宅(新築)とは、注文住宅と建売(分譲戸建)を、ハウスメーカーやパワービルダーが戸建の形で供給する住宅市場を指します。戸建の新築着工は2025年に持家20.1万戸・分譲一戸建11.6万戸の合計約31.7万戸まで減少し、新設住宅着工全体も74.07万戸と3年連続で縮小しました。取得費は取得形態や調査により幅があり、フラット35では建売住宅の物件価格3,826万円、土地付き注文住宅5,007万円となっています。注文と建売の価格やプロセスの違い、上場大手と非上場メーカーの併存、建築費の上昇や省エネ規制への対応が業界共通の論点です。本ページでは、日本の戸建住宅を、市場規模・着工戸数、注文住宅と建売の違い、主要ハウスメーカー・ビルダー、構造・工法と住宅性能、集客・販売チャネルと政策の5軸で整理します。
業界サマリ
業界概要
戸建住宅(新築)とは、注文住宅と建売(分譲戸建)を、ハウスメーカーやパワービルダーが供給する住宅市場です。新設着工が長期的に減少するなかで、持ち家志向の継続と住宅性能の向上が同時に進む転換期にあります。
- 戸建の新築着工は長期的な減少が続いています。2025年の新設住宅着工は74.07万戸で3年連続の減少となり、戸建の中核である持家(20.1万戸)と分譲一戸建(11.6万戸)もいずれも縮小しています。
- 注文住宅と建売で取得のかたちが分かれます。注文住宅は土地の保有や設計の自由度を前提に高単価で建てられ、建売は完成済みの住宅を相対的に手頃な価格で供給しています。
- 上場大手と非上場メーカーが多様な価格帯で供給しています。大和ハウスや積水ハウスなどの注文系大手、飯田グループなどの建売系、一条工務店などの非上場メーカーがそれぞれの強みで競っています。
市場動向
戸建市場は新築着工の減少と取得費の上昇が同時に進んでいます。2025年の新設住宅着工は74.07万戸で、戸建の中核である持家は20.1万戸、分譲一戸建は11.6万戸でした。首都圏の注文住宅の建築費は2024年度に6,095万円まで上昇しています。
- 新設住宅着工は2025年に74.07万戸で3年連続の減少となりました。戸建の中核である持家は20.1万戸、分譲一戸建は11.6万戸で、いずれも前年から減少しています。
- 取得費は取得形態や調査により幅があります。フラット35では建売住宅の物件価格が3,826万円、土地付き注文住宅が5,007万円で、土地取得の有無や住宅の種類で水準が分かれます。
- 建築費の上昇が取得環境に影響しています。首都圏の注文住宅の建築費は2015年度の2,964万円から2024年度に6,095万円へと上がり、持家比率は60.9%を維持しています。
競争環境
戸建住宅では、注文住宅系のハウスメーカー・建売系のパワービルダー・非上場の有力メーカー・ローコスト注文の事業者など多様なプレイヤーが活動しています。注文と建売の価格やプロセスの違い、上場大手と非上場メーカーの併存、住宅性能への対応が主要な論点です。
- 注文住宅系では上場大手が事業構造で分かれています。大和ハウス工業の戸建住宅事業は1.34兆円、積水ハウスの戸建住宅事業は4,788億円、住友林業の住宅事業は5,846億円の売上規模で、木造や鉄骨など得意とする工法が分かれています。
- 建売(分譲戸建)では飯田グループが最大手となっています。飯田グループホールディングスの戸建分譲事業は1.22兆円で、一建設やアーネストワンなど6つのブランドを通じて分譲戸建を供給し、オープンハウスグループも都市部の戸建関連事業で6,713億円の規模となっています。
- 非上場の有力メーカーも戸建市場で大きな存在感があります。高断熱の注文住宅を手がける一条工務店、三井不動産系の三井ホーム、トヨタとパナソニックの統合持株会社プライム ライフ テクノロジーズなどが、非上場で事業を展開しています。
市場規模推移
2011-2025 · 持家 + 分譲一戸建戸建新築着工戸数の推移 (2011-2025年、万戸)
| 年度 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 持家(万戸) | 30.60 | 31.20 | 35.50 | 28.50 | 28.30 | 29.20 | 28.40 | 28.30 | 28.90 | 26.10 | 28.60 | 25.30 | 22.40 | 21.80 | 20.10 |
| 分譲一戸建(万戸) | 11.70 | 12.30 | 13.50 | 12.50 | 12.40 | 13.40 | 13.80 | 14.20 | 14.80 | 13.10 | 14.10 | 14.60 | 13.70 | 12.10 | 11.60 |
| 合計(万戸) | 42.30 | 43.50 | 49 | 41 | 40.70 | 42.60 | 42.20 | 42.50 | 43.70 | 39.20 | 42.70 | 39.90 | 36.10 | 33.90 | 31.70 |
| 前年比 | — | +2.8% | +12.6% | -16.3% | -0.7% | +4.7% | -0.9% | +0.7% | +2.8% | -10.3% | +8.9% | -6.6% | -9.5% | -6.1% | -6.5% |
戸建住宅の新築着工は長期的な減少局面にあります。2025年の新設住宅着工は74.07万戸で3年連続の減少となり、このうち戸建の中核である持家は20.1万戸、分譲一戸建は11.6万戸で、合計しても約31.7万戸の水準にとどまっています。持家はその大半が一戸建で、注文住宅の主力をなしています。
背景には、世帯数が頭打ちとなるなかでの人口・世帯構造の変化と、建築費の上昇による取得環境の厳しさがあります。注文住宅系の持家と、パワービルダーが供給する分譲一戸建がいずれも縮小し、戸建市場全体の供給量は減少が続いています。
戸建の取得費は、調査によって対象や基準が異なるため、単一の数字では表せません。フラット35利用者調査では建売住宅の物件価格が3,826万円、土地付き注文住宅が5,007万円(建設費3,512万円+土地1,495万円)で、土地取得の有無や住宅の種類によって水準が分かれます。国の住宅市場動向調査では別の基準による取得費も示されており、調査によって何を含めて数えるかが異なるため、取得費の数字は前提を確認して読む必要があります。
建築費そのものも上昇が続いています。首都圏の注文住宅の建築費は2015年度の2,964万円から2024年度に6,095万円へと上がり、資材費や人件費の上昇が取得環境に影響しています。
戸建を支える持ち家志向は依然として強く、持家比率は2023年に60.9%となっています。一方で空き家率は13.8%まで上昇し、住宅ストックが世帯数を上回るなかで、新築需要は質の向上へと軸足を移しつつあります。
政策面では、2025年4月に省エネ基準の適合が全面義務化され、住宅の性能向上と建築コストの両面に影響しています。住宅ローン減税や子育て世帯向けの支援制度も省エネ性能を要件とする方向にあり、ZEHや長期優良住宅への対応が新築戸建の標準になりつつあります。
主要トピック
業界構造
主要プレイヤー / サプライヤー / 流通 / 需要戸建住宅(新築)は、注文住宅と建売(分譲戸建)の2つの供給形態で構成されます。注文住宅は、土地の保有や購入を前提に間取りや仕様を自由に設計し、ハウスメーカーや工務店が受注生産で建てます。建売は、事業者が用地の仕入れから設計・施工までをまとめて行い、完成済みまたは完成前の住宅を販売します。
供給者は、注文住宅系のハウスメーカー、建売系のパワービルダー、非上場の有力メーカー、ローコスト注文の事業者など多様です。戸建の中核である持家(2025年20.1万戸)と分譲一戸建(11.6万戸)はいずれも長期的に縮小しており、各社は性能・価格・立地の組み合わせで差別化を進めています。
注文住宅系では、大和ハウス工業・積水ハウス・住友林業などの上場大手が、鉄骨系や木造系といった得意とする工法で差別化しています。大和ハウスの戸建住宅事業は1.34兆円、積水ハウスの戸建住宅事業は4,788億円、住友林業の住宅事業は5,846億円の売上規模です。
建売(分譲戸建)では、飯田グループホールディングスが戸建分譲事業1.22兆円で最大手となり、一建設・アーネストワンなど6つのブランドを通じて全国で供給しています。オープンハウスグループは都市部の戸建関連事業6,713億円で続きます。このほか、ローコスト注文のタマホーム(注文住宅引渡5,598棟)や、高断熱で知られる非上場の一条工務店なども有力です。
戸建の建て方は木造(在来軸組・枠組壁)が主流で、鉄骨系やプレハブ住宅がこれに続きます。住宅メーカーごとに、木造・鉄骨・ツーバイフォーなど得意とする工法が分かれています。
住宅性能の向上も進んでいます。戸建注文住宅では長期優良住宅の認定率が88.5%、ZEHの採用率が43.8%に達し、2025年4月の省エネ基準の適合義務化もあって、高性能化が新築戸建の標準になりつつあります。住宅ローン減税や子育て世帯向けの支援制度も省エネ性能を要件とする方向にあり、性能と建築コストの両面に影響しています。
業界の3大論点
戸建住宅は、注文住宅と建売(分譲戸建)に大きく分かれ、取得のかたちと顧客層が異なります。注文住宅は、土地の保有や購入を前提に、間取りや仕様を自由に設計できる点が強みで、ハウスメーカーや工務店が受注生産で建てます。フラット35では土地付き注文住宅の取得費が5,007万円(建設費3,512万円+土地1,495万円)と、相対的に高単価です。
一方で建売(分譲戸建)は、用地の仕入れから設計・施工までを事業者がまとめて行い、完成済みまたは完成前の住宅を販売します。フラット35では建売の物件価格が3,826万円で、土地と建物がセットの分かりやすさと相対的な手頃さが強みです。飯田グループやオープンハウスなどのパワービルダーが、規格化と量産で価格を抑えて供給しています。
両者は価格帯だけでなく、検討にかける期間や情報収集のしかたも異なります。注文住宅は住宅展示場やモデルハウスを通じた長期の検討が中心で、建売は物件そのものを見て選ぶプロセスが中心です。取得費の水準は調査によって基準が異なるため、何を含めて数えるかを確認して読むことが重要です。
戸建を供給する事業者は、注文住宅系のハウスメーカーと、建売系のパワービルダーに大きく分かれ、事業構造が異なります。注文住宅系のハウスメーカーは、受注生産で1棟ごとに設計・施工し、高単価・高付加価値を志向します。大和ハウス工業の戸建住宅事業は1.34兆円、積水ハウスの戸建住宅事業は4,788億円、住友林業の住宅事業は5,846億円の売上規模で、鉄骨系や木造系など得意とする工法が分かれています。
建売系のパワービルダーは、用地の仕入れと規格化した住宅の量産で、価格を抑えた分譲戸建を供給します。飯田グループホールディングスの戸建分譲事業は1.22兆円で、一建設・アーネストワンなど6つのブランドを通じて全国で分譲し、業界の最大手です。オープンハウスグループは都市部の戸建関連事業で6,713億円の規模となっています。
さらに、ローコスト注文のタマホームのように、規格化で注文住宅の価格を抑える事業者や、高断熱で知られる非上場の一条工務店なども存在します。注文と建売、上場と非上場が併存し、それぞれの強みで競う多様な構造が戸建市場の特徴です。
戸建市場は、新築着工の減少と建築費の上昇という2つの圧力に直面しています。新設住宅着工は2025年に74.07万戸で3年連続の減少となり、戸建の中核である持家・分譲一戸建もいずれも縮小しました。世帯数が頭打ちとなり、空き家率が13.8%まで上昇するなかで、新築の量的な拡大は見込みにくい状況です。
こうしたなかで、市場の軸足は量から質へと移りつつあります。首都圏の注文住宅の建築費は2015年度の2,964万円から2024年度に6,095万円へと上昇し、住宅の高性能化と建築コストの上昇が同時に進んでいます。長期優良住宅の認定率は88.5%、ZEHの採用率は43.8%に達し、2025年4月の省エネ基準の適合義務化もあって、性能向上が新築戸建の標準になりつつあります。
中長期的には、新築の戸数縮小を、1棟あたりの単価上昇や、リフォーム・中古住宅市場との連携でどこまで補えるかが論点となります。持ち家志向は持家比率60.9%と根強く残る一方、取得環境の厳しさが続くため、各社は性能・価格・立地の組み合わせで差別化を進める見通しです。
よくある質問 (FAQ)
戸建住宅の新築着工はどれくらいですか?
注文住宅と建売戸建の違いは何ですか?
戸建住宅の取得費はどれくらいですか?
主要なハウスメーカー・ビルダーにはどんな会社がありますか?
戸建住宅の建築費は上がっていますか?
ZEHや長期優良住宅とは何ですか?
戸建住宅市場は今後どうなりますか?
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