不動産仲介業界の市場規模・主要企業・動向
日本の不動産仲介業界は、新築から中古への流通シフトで既存住宅流通シェアが40.4%まで上昇し、中古価格の上昇も続く拡大局面にあります。
不動産仲介業界とは、中古住宅・土地の売買を売主と買主の間で取り次ぎ、成約価格に応じた仲介手数料を収益とする産業です。既存住宅流通シェアは2013年の30.8%から2023年に40.4%へ上昇し、首都圏の中古マンション成約価格は13年連続で上昇して2025年に5,200万円に達しました。宅地建物取引業者は132,291業者と11年連続で増加し、全国展開の大手仲介、地域密着の地場専業、フランチャイズ、集客を担うポータルが多様に活動しています。集客のポータルへの依存、仲介手数料制度の見直し、中古流通のデジタル化、相続・空き家への対応が業界共通の論点です。本ページでは、日本の不動産仲介業界を、市場規模と流通シェア、価格動向、主要プレイヤーと業界構造、集客モデル、制度・DX・空き家の軸で整理します。
業界サマリ
業界概要
不動産仲介業界とは、中古住宅・土地の売買を売主と買主の間で取り次ぎ、成約価格に応じた仲介手数料を収益とする産業です。新築から中古への流通シフトを背景に既存住宅流通シェアが上昇し、価格も上昇が続く拡大局面にあります。
- 中古への流通シフトで市場が拡大しています。既存住宅流通シェアは2013年の30.8%から2023年に40.4%へ上昇し、中古住宅の取引が住宅流通に占める比重が高まっています。
- 地域に根ざした中小事業者が大多数を占める分散した業界です。宅地建物取引業者は2024年度末に132,291業者にのぼり、その多くが知事免許の地場事業者です。
- 集客はポータルサイトが中核となっています。SUUMO・HOME’S・アットホームといったポータルへの物件掲載と、そこからの問い合わせ(反響)を起点とする営業が一般的です。
市場動向
中古住宅市場は流通量・価格ともに拡大が続いています。既存住宅流通シェアは2013年の30.8%から2023年に40.4%へ上昇し、首都圏の中古マンション成約価格は2025年に5,200万円に達しました。宅地建物取引業者数も11年連続で増加しています。
- 既存住宅流通シェアは2013年の30.8%から2023年に40.4%へ上昇しています。新築から中古への流通シフトが進み、既存住宅が住宅流通に占める比重が高まっています。
- 首都圏の中古マンション成約価格は13年連続で上昇し、2025年に5,200万円となっています。国土交通省の不動産価格指数でも、マンション(区分所有)が2010年比で221まで上昇し、住宅総合を上回って推移しています。
- 全国レインズへの成約報告件数は2005年度の約10.9万件から2024年度に約19.2万件へ増加しています。宅地建物取引業者数も132,291業者と11年連続で増加しています。
競争環境
日本の不動産仲介業界では、全国展開する大手仲介・地域密着の地場専業・フランチャイズ網・集客を担うポータル運営事業者など多様なプレイヤーが活動しています。宅地建物取引業者は132,291業者にのぼり、その多くが知事免許の地場中小という分散した構造が特徴で、大手仲介各社の取扱高は市場全体の一部にとどまります。
- 大手仲介では取扱高と仲介件数で首位が分かれています。東急リバブルが取扱高2兆2,312億円で、三井不動産リアルティが仲介件数38,103件でそれぞれ首位となり、住友不動産販売・野村不動産ソリューションズが続いています。
- 上場しているのは大手仲介を傘下に持つ総合不動産や専業の一部にとどまります。三井不動産・住友不動産・東急不動産ホールディングス・野村不動産ホールディングスなどの総合不動産は連結の大半が開発事業で、仲介はその一部門です。地場の中小事業者の多くは非上場です。
- 集客面ではポータル運営事業者が並立しています。リクルートのSUUMO、LIFULLのHOME’S、アットホームが物件情報のプラットフォームを提供し、仲介各社の集客を支えています。
市場規模推移
2005-2024 · 中古住宅等の成約報告件数中古住宅等の成約報告件数の推移 (全国指定流通機構、年度、万件)
| 年度 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 中古住宅等の成約報告件数(万件) | 10.86 | 11.54 | 11.44 | 11.49 | 12.38 | 13.04 | 13.61 | 15.05 | 16.28 | 15.77 | 17.28 | 17.86 | 17.93 | 18.51 | 18.72 | 18.75 | 18.61 | 17.41 | 17.85 | 19.17 |
不動産仲介の市場は、新築から中古への流通シフトを背景に拡大しています。既存住宅が住宅流通全体に占める流通シェアは2013年の30.8%から2023年に40.4%へ上昇し、全国の指定流通機構(レインズ)への成約報告件数も2005年度の約10.9万件から2024年度に約19.2万件へ増えています。
市場規模は複数の指標で捉える必要があります。国土交通省が推計する既存住宅流通量、レインズの成約報告件数、大手仲介各社の取扱高は、それぞれ集計の対象や基準が異なるため、単純に足し合わせて一つの市場規模とすることはできません。本ページでは、これらを別々の指標として並べて示します。
中古住宅の価格は上昇が続いています。国土交通省の不動産価格指数(2010年平均を100とする指数)では、マンション(区分所有)が2025年に221まで上昇し、住宅総合や戸建住宅を上回って住宅価格全体を押し上げています。
実額でも、東日本レインズによる首都圏の中古マンション成約価格は2015年の2,892万円から2025年に5,200万円へ上昇し、㎡単価とともに13年連続で前年を上回りました。指数と実額は基準が異なるため、価格の動きは指数(2010年=100)と成約価格の実額(万円)の二つの層で確認できます。
制度面では、2024年7月の媒介報酬告示の改正で、物件価格800万円以下の低廉な空き家等について媒介報酬の上限が33万円まで認められるようになり、流通が難しかった低価格物件の取り扱いを後押ししています。
国際的にみると、日本の既存住宅流通シェアは40.4%まで上昇したものの、中古取引が住宅流通の大半を占める欧米と比べると依然として低い水準にあります。総務省の住宅・土地統計調査で空き家が2023年に900万2千戸・空き家率13.8%と過去最高になるなか、既存ストックの活用と中古流通の拡大が政策課題となっています。
主要トピック
業界構造
主要プレイヤー / サプライヤー / 流通 / 需要不動産仲介は、中古住宅・土地の売買を売主と買主の間で取り次ぎ、成約価格に応じた仲介手数料を収益とする業態です。取り扱う物件は中古マンション・中古戸建・土地に分かれ、売却を依頼された物件は指定流通機構(レインズ)に登録され、業者間で情報が共有されます。
市場は中古への流通シフトを背景に拡大しており、既存住宅流通シェアは2023年に40.4%まで上昇しました。宅地建物取引業者は132,291業者にのぼり、その大半が地域に根ざした中小事業者という、すそ野の広い構造が特徴です。
大手仲介では、東急リバブルが取扱高2兆2,312億円で首位、三井のリハウス(三井不動産リアルティ)が仲介件数38,103件で首位と、取扱高と件数で首位が分かれています。住友不動産販売(ステップ)や野村の仲介+が続き、これらの多くは総合不動産の傘下の仲介部門です。
一方で、宅地建物取引業者は132,291業者と多く、大手仲介の取扱高は市場全体の一部にとどまります。地域密着の地場専業、ピタットハウスやハウスドゥなどのフランチャイズ網、SUUMO・HOME’S・アットホームといった集客を担うポータルが、それぞれの役割で市場を構成しています。
仲介の業務は制度と密接に結びついています。媒介報酬には宅地建物取引業法に基づく上限が定められ、2024年7月の告示改正で物件価格800万円以下の低廉な空き家等の上限が33万円まで認められるようになりました。重要事項説明をオンラインで行うIT重説や、契約書面を電子化できるようにした2022年の法改正も進んでいます。
技術面では、AIを用いた価格査定や物件情報のデジタル化が広がり、不動産テックを手がける事業者も参入しています。空き家の増加と中古流通シフトという構造変化のもとで、制度の見直しとデジタル化が業界の環境を形づくっています。
業界の3大論点
既存住宅が住宅流通に占める流通シェアは2013年の30.8%から2023年に40.4%へ上昇し、中古住宅の取引が着実に拡大しています。首都圏の中古マンション成約価格は13年連続で上昇して2025年に5,200万円に達し、価格面でも中古市場の存在感が高まっています。
もっとも、中古取引が住宅流通の大半を占める欧米と比べると、日本の40.4%は依然として低い水準にとどまります。背景には、新築志向の根強さ、中古住宅の品質や情報に対する買い手の不安、築年数に応じた評価の難しさがあります。これらを補うために、既存住宅状況調査(インスペクション)や安心R住宅といった品質を可視化する仕組みが整えられてきました。
人口減少と世帯数の頭打ち、空き家の増加という構造変化のもとで、住宅政策は新築の供給から既存ストックの活用へと軸足を移しています。中古流通シフトは中期的に続く見通しで、品質の可視化や流通のデジタル化が進むほど、買い手の不安が和らぎ中古取引の裾野が広がると考えられます。
不動産仲介の集客は、SUUMO・HOME’S・アットホームといったポータルサイトへの物件掲載と、そこからの問い合わせ(反響)を起点とする営業が一般的です。リクルートの住宅・不動産領域の売上は1,569億円にのぼり、アットホームにも全国の不動産店が加盟するなど、ポータルは仲介各社にとって欠かせない集客基盤となっています。
一方で、ポータルへの依存は仲介会社の収益構造に課題も生みます。掲載料や反響課金といった集客コストの上昇、ポータル上での物件の比較競争、売主から直接依頼を得るための売却査定サイトの活用など、各社は集客の手段を組み合わせています。自社サイトやリピーター・紹介による集客を強化し、ポータル依存を抑える動きもあります。
集客は仲介の収益を左右する起点であり、リードの質と獲得コストの管理が経営の要となります。ポータルの利便性を活かしつつ、自社の顧客基盤をどう育てるかが、仲介会社の持続的な競争力を分ける論点です。
中古流通の基盤には、宅地建物取引業者が物件を登録し成約を報告する指定流通機構(レインズ)があります。これに加えて、重要事項説明をオンラインで行うIT重説(賃貸で2017年、売買で2021年に本格運用)、契約書面を電子化できるようにした2022年の宅地建物取引業法改正、AIを用いた価格査定など、取引のデジタル化が段階的に進んでいます。
2024年7月には媒介報酬の告示が改正され、物件価格800万円以下の低廉な空き家等について報酬の上限が33万円まで認められるようになりました。低価格物件は手数料が少なく取り扱いが敬遠されがちでしたが、この見直しは流通が難しかった物件の取り扱いを後押しするものです。
デジタル化は業務の効率化と買い手への情報提供を進め、手数料改正は低廉物件の流通を促します。いずれも、空き家の増加や中古流通シフトという構造変化に業界が対応するための動きであり、仲介の役割は物件情報の仲立ちから、品質の可視化や流通の円滑化を含むものへと広がっています。
よくある質問 (FAQ)
不動産仲介の市場規模はどれくらいですか?
中古マンションの価格は上がっていますか?
不動産仲介の大手にはどんな会社がありますか?
宅地建物取引業者は何社ありますか?
不動産の集客はどのように行われますか?
仲介手数料はいくらですか?2024年の改正で何が変わりましたか?
空き家や相続は中古流通にどう影響しますか?
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