移動体通信業界の市場規模・主要企業・動向
日本の移動体通信は契約数2.3億の成熟市場で、3大キャリアと楽天モバイル、約250のMVNOが競い、楽天の黒字化と5G投資が次の焦点です
移動体通信業界とは、無線通信網を通じて携帯電話やデータ通信を提供する産業です。契約数は 2億2,775万 の成熟市場で、NTTドコモ・KDDI au・ソフトバンクの3大キャリアに、楽天モバイルが2020年にMNO 4社目として参入しました。楽天モバイルは2025年度にNon-GAAP EBITDAで暦年黒字化を達成し、業界構造の転換点を迎えています。MVNOは4,066万契約 と契約数の17.9%を占め、IIJmioやmineo、サブブランドが選択肢を広げています。総務省主導の 通信料引下げ競争、5G・6G投資、周波数政策 が業界の次の論点を形成しています。本ページでは、日本の移動体通信業界を、市場規模、5社業績と楽天、5G・6Gとオープン化、通信料政策、周波数政策の5軸で整理します。
業界サマリ
業界概要
移動体通信業界とは、無線通信網を通じて携帯電話やデータ通信を提供する産業です。自社で無線網を保有・運営する MNO(移動体通信事業者)と、MNOの網を借りてサービスを提供する MVNO(仮想移動体通信事業者)に大きく分かれます。MNOはNTTドコモ・KDDI au・ソフトバンク・楽天モバイルの4グループ、MVNOはIIJmioやmineoなど約250事業者があり、加えてNECや富士通などの通信機器ベンダー、規制を担う総務省が業界の基盤を形成しています。
- 移動体通信はMNOとMVNOで構成されます。MNOが携帯電話4グループ、MVNOが約250事業者で、契約数のシェアはMNOが約82%、MVNOが約18%です
- 契約数は2025年9月末に2億2,775万へ達しました。TCAが公表する携帯電話総計は2026年3月末で2億3,312万で、両者の差は集計範囲の違いによります
- 3大キャリアと楽天モバイルが主要なMNOです。NTTドコモ・KDDI au・ソフトバンクの3大キャリアに、2020年参入の楽天モバイルが加わり、IIJなどがMVNOの中核を担っています
市場動向
市場は契約数2.3億の成熟段階にあり、MVNOのシェア拡大と楽天モバイルの黒字化 が構造変化を生んでいます。通信料引下げ政策で1契約あたり収入は圧縮されたものの、5Gの普及とOpen RANへの投資が次の収益軸を形成しつつあります。
- 契約数は緩やかに増えています。TCA公表の4グループ合計は2022年3月末の1億9,513万から2026年3月末に2億3,312万へ増え、年平均4〜5%で成長しています
- MVNOが急成長しています。4,066万契約と移動系通信全体の17.9%を占め、前年同期比19.7%増で、IIJmioやmineo、サブブランドが選択肢を提供しています
- 楽天モバイルが黒字化しました。Non-GAAP EBITDAはFY2023の1,525億円の赤字からFY2025に126.9億円の黒字へ転じ、V字回復を達成しています
競争環境
移動体通信業界には、3大キャリア(NTT・KDDI・ソフトバンク)、2020年参入の楽天モバイル、MVNO中核事業者、通信機器ベンダー、規制主体の総務省 が関わっています。3大キャリアがMNOシェアの約80%を占める一方、MVNO 4,066万契約と約250事業者のロングテールが消費者の選択肢を広げています。楽天モバイルが2025年度に黒字化を達成し、業界構造の転換点を迎えました。
- 3大キャリアが業界の中核です。NTTのドコモ事業は営業収益6兆4,581億円で業界最大、KDDIは連結営業収益5兆8,355億円・営業利益1兆875億円、ソフトバンクはコンシューマ事業を主軸にAI活用戦略を進めています
- 楽天モバイルとIIJが新興・MVNO軸を担います。楽天モバイルは完全仮想化とOpen RANで黒字化1年目を迎え、IIJはMVNO中核のIIJmioを運営、オプテージのmineoなど約250事業者がロングテールを形成しています
- 通信機器ベンダーと規制主体も重要です。NECと富士通がOpen RANで海外展開し、総務省が電気通信事業法・電波法のもとで周波数政策・通信料政策・MVNO開放を所管しています
市場規模推移
2021-2025 · 4グループ合計契約数| 年度 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4グループ合計契約数(万台) | 19,513 | 20,302 | 21,243 | 21,655 | 23,312 |
| 前年比 | — | +4.0% | +4.6% | +1.9% | +7.7% |
移動体通信業界は契約数2.3億規模の成熟市場で、MNO 4グループとMVNO約250事業者の積み上げで構成されます。総務省の四半期データでは2025年9月末の移動系通信契約数は 2億2,775万 で、前年同期比4.5%増と微増傾向です。TCAが公表する携帯電話総計は2026年3月末で2億3,312万となり、両者の差は集計範囲の違いによるものです。
構造の転換点となっているのが 楽天モバイルの黒字化 です。2020年にMNO 4社目として参入した楽天モバイルは、2025年度にNon-GAAP EBITDAで暦年黒字化を達成しました。MVNOも4,066万契約 と全体の17.9%を占め、前年同期比19.7%増と成長しており、3大キャリアとロングテールが併存する構造です。
次世代通信は5Gから6Gへの移行期で、Open RAN が国際競争軸の一つになっています。KDDIは5G Sub6基地局数で首位を主張し、NTTは光技術を活用したIOWN構想を推進、ソフトバンクはAIの活用戦略を打ち出しています。楽天モバイルは完全仮想化クラウドネイティブネットワークとOpen RANを国内で実装し、4社目のMNOとして技術面の差別化を進めています。
通信機器ベンダーでは、NECがVodafoneやBT、TelefonicaなどとOpen RAN契約 を獲得し、富士通もSymphony Open RANで海外展開を進めています。Open RANは基地局のハードウェアとソフトウェアを分離し、複数ベンダーの機器の相互運用を可能にする技術で、日本ベンダーの国際競争力が問われる局面です。
移動体通信は政策の影響を強く受けます。総務省主導の 通信料引下げ競争 で、料金プランはahamo・povo・LINEMO・楽天最強プランの体系に再編され、加入者の選択肢が広がる一方、キャリアは1契約あたり収入の圧縮に直面しています。MM総研によると国内スマートフォン出荷台数は2025年度通期で3,132.8万台でした。
もう一つの軸が 周波数政策 です。総務省は周波数再編アクションプラン令和7年度版で700MHzから28GHzまでの割当を整理し、2040年度末までに約47GHz幅の追加確保を目標に掲げました。4.9GHz帯では2024年にソフトバンクが業界初の5G開設計画認定を取得し、楽天モバイルは2023年に700MHz帯のプラチナバンドの追加認定を取得しています。
主要トピック
業界構造
主要プレイヤー / サプライヤー / 流通 / 需要日本の移動体通信業界は、自社で無線通信網を保有・運営する MNO と、MNOの網を借りてサービスを提供する MVNO に大きく分かれます。MNOはNTTドコモ・KDDI au・ソフトバンクの3大キャリアと、2020年に参入した 楽天モバイル の4グループで、契約数2億2,775万の市場の約82%を占めます。
MVNOはIIJmioやmineo、サブブランドなど約250事業者があり、4,066万契約と全体の17.9%を占めてロングテールを形成しています。少数の3大キャリアと多数のMVNOが併存する構造です。
業界の構図を最も大きく動かしているのが 楽天モバイルの黒字化 です。2020年にMNO 4社目として参入した楽天モバイルは、完全仮想化クラウドネイティブネットワークとOpen RANを採用し、2025年度にNon-GAAP EBITDAで暦年黒字化を達成しました。FY2023の1,525億円の赤字からV字回復しましたが、考慮前では213億円の赤字で、黒字化1年目の持続性が論点です。
3大キャリアはNTTのドコモ事業が営業収益6兆4,581億円で業界最大、KDDIが営業利益1兆875億円、ソフトバンクがAI活用戦略を進めています。IIJがMVNOの中核を担い、NECや富士通が通信機器ベンダーとしてOpen RANで海外展開しています。
移動体通信は、周波数という有限資源と政策の上に成り立ちます。総務省は 周波数再編アクションプラン令和7年度版 で700MHzから28GHzまでの割当を整理し、4.9GHz帯では2024年にソフトバンクが業界初の5G開設計画認定を取得しました。
通信料では総務省主導の引下げ競争でahamo・povo・LINEMO・楽天最強プランの体系に再編され、加入者の選択肢が広がる一方でキャリアは収入の圧縮に直面しています。MVNO開放 は電気通信事業法の改正と卸料金規制を通じて進められ、MVNOは4,066万契約へ成長しました。
業界の3大論点
楽天モバイルは2025年度にNon-GAAP EBITDAで 126.9億円の暦年黒字化 を達成しました。FY2023の1,525億円の赤字からFY2024の538億円の赤字を経て、FY2025に127億円の黒字へV字回復しています。四半期では2025年4〜6月期に初めて黒字へ転じ、その後も黒字を維持しています。ただしモバイルエコシステム貢献額の考慮前ではFY2025も213億円の赤字で、楽天ポイントなどグループ内の貢献を除いた素のモバイル事業はまだ黒字化していません。
第1の論点は 黒字化の持続性 です。考慮前のEBITDAが黒字化するには、1契約あたり収入の改善と契約数の拡大の両立が必要で、楽天最強プランによる契約獲得と4社目としての設備投資負担のバランスが課題です。第2は 3大キャリアへの影響 です。楽天の参入が官製競争を強め、ahamo・povo・LINEMOの登場を促した経緯があり、料金引下げ圧力は今後も続く構造です。
第3は 完全仮想化とOpen RANモデルの拡張性 です。楽天Symphonyとして海外展開も狙う技術モデルが、国内の設備投資効率と国際展開の両面で評価される局面にあります。黒字化を一過性で終わらせず、業界構造を変える定着につなげられるかが問われています。
総務省主導の通信料引下げ圧力は2020年以降強まり、ahamo・povo・LINEMO・楽天最強プランの登場で月額料金の下方圧力が定着しました。消費者にとっては選択肢の拡大ですが、キャリアにとっては 1契約あたり収入の圧縮 を意味します。
KDDIの連結営業利益率18.6%は通信業界として高い水準ですが、これは金融などモバイル以外の事業の貢献も含む数値で、モバイル単独の収益性は引下げ圧力の影響を受けやすい構造です。第1の論点は 5G・6G設備投資との両立 です。各社の設備投資は年間数千億円規模で、収入の圧縮が続けば投資余力に影響します。第2は MVNO卸料金規制との整合 です。MVNO 4,066万契約への成長は卸料金規制の効果ですが、MNO側の収益確保とのバランスが論点です。
第3は 政策の継続性 です。総務省の市場検証年次レポートが業界規律を整えるなか、引下げ圧力がどこまで続くかが投資判断の前提になります。料金の安さと次世代投資の余力をどう両立させるかが、業界全体の課題です。
Open RANは基地局のハードウェアとソフトウェアを分離し、複数ベンダーの機器の相互運用を可能にする技術仕様で、これまでEricssonやNokia、Huawei、Samsungが大きなシェアを占めていた基地局市場に新規参入の可能性を開きます。日本では楽天モバイルがMNO 4社目として完全仮想化クラウドネイティブネットワークとOpen RANを採用し、技術モデルとして国内実装が進みました。
NECはVodafoneやBT、Telefonicaなどの海外大手キャリアとOpen RAN契約を獲得し、海外売上を伸ばす事業と位置づけています。富士通もSymphony Open RANで米国や欧州への展開を進めています。第1の論点は 海外キャリアの採用ペース です。欧州や北米でもOpen RANへの移行は段階的で、技術の成熟度と既存設備との互換性が普及スピードを左右します。第2は 国内サプライチェーンの強化 です。経済安全保障の観点から通信機器の国内調達が議論されており、NEC・富士通の国内シェア確保が中期のテーマです。
第3は 6Gへの移行 です。Open RANは5G後期から6Gへの技術的な連続性を持つため、日本ベンダーの6G標準化への関与が国際競争力の鍵になります。
よくある質問 (FAQ)
日本の移動体通信市場の規模はどれくらいですか?
主要キャリアとIIJの業績はどう違いますか?
楽天モバイルはどれくらい黒字化していますか?
MVNOとは何ですか? IIJmio・mineo・サブブランドとの違いは?
5Gはどこまで普及していますか? Open RANは何が違うのですか?
通信料はなぜ下がったのですか? ahamo・povo・LINEMO・楽天最強プランの違いは?
周波数政策はどのように決まっていますか? 楽天モバイルへの追加割当は?
6Gはいつ実用化されますか? IOWNとは何ですか?
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