外食業界の市場規模・主要企業・動向
外食産業は市場規模が約24兆円で、コロナ前への回復が進みます。多様な業態に多数の企業が競い、原材料高や人手不足、インバウンド需要が共通のテーマです。
日本の外食産業は、市場規模が24兆1,512億円(2023年、狭義の外食産業計)と、新型コロナ前の2019年(約26兆円)の9割超まで戻りました。ファストフード・ファミリーレストラン・居酒屋・回転寿司・カフェ・専門店といった多様な業態に、上場大手から個人店までが競い合う市場です。原材料高・人件費の上昇・人手不足という共通の課題と、回復を支えるインバウンド需要を軸に、市場規模・主要企業・業態構造・コスト・人手不足とDXまで順に見ていきます。
業界サマリ
業界概要
外食産業は、店内で調理して提供する「外食」と、持ち帰り・配達の「中食」に分かれ、本ページは狭義の外食を中心に扱います。外食は、飲食店・宿泊施設や集団給食などの給食主体部門と、喫茶店・居酒屋・料亭バーなどの料飲主体部門で構成され、供給側は多数の事業者が競う構造です。
- 外食は、飲食店・宿泊施設・集団給食などの給食主体部門と、喫茶店・居酒屋・料亭バーなどの料飲主体部門で構成されます。持ち帰り・配達の中食(料理品小売業)は別カテゴリで、中食・デリバリーのページで扱います。
- 供給側は多数の事業者が競う構造で、ファストフード・ファミリーレストラン・居酒屋・回転寿司・カフェ・専門店などの業態に、全国チェーンの上場大手から地域の個人店までが併存しています。
- 需要側は家計の外食支出とインバウンドが支え、コスト側は原材料費と人件費が収益を左右します。原材料高・人件費上昇・人手不足が、業態を問わず共通の課題となっています。
市場動向
外食産業の市場規模は24兆1,512億円(2023年、狭義)で、前年から+20.2%と回復が続き、新型コロナ前の2019年(約26兆円)の9割超に達しました。料理品小売業(中食)を加えた広義では約32兆円規模です。回復は値上げによる客単価上昇が主因で、客数の戻りは業態によって差があります。
- 国内の外食産業市場規模は2023年に24兆1,512億円(前年比+20.2%)で、新型コロナ前の2019年(約26兆円)の9割超まで回復しました。
- 部門別では給食主体部門が20兆2,793億円(構成比84.0%)、料飲主体部門が3兆8,719億円(同16.0%)で、飲食店・宿泊施設などの給食主体が大半を占めます。
- 会員社の全店データ(2025年)では売上が前年比107.3%、客単価が104.3%で、回転寿司など一部業態では客数が前年を下回りました。
競争環境
外食産業は事業者数が非常に多く、業界全体を少数の企業が占める構造ではありません。一方で、回転寿司や牛丼、ハンバーガーなど特定の業態では上場大手数社への集中がみられます。ここでは主要な上場チェーンを売上規模で紹介しますが、市場にはこのほかにも多数の中堅企業や個人店が存在します。
- 売上最大手はゼンショーホールディングス(7550)で連結売上は約1兆1,367億円(FY2025)です。すき家・はま寿司・ココスなど多くの業態を抱え、2位以下を大きく引き離しています。
- 続くのはすかいらーくHD(約4,578億円)・FOOD & LIFE COMPANIES(スシロー、約4,296億円)・日本マクドナルドHD(約4,166億円)で、ファミリーレストラン・回転寿司・ハンバーガーの各業態を代表します(いずれもFY2025)。
- コロワイド(約2,692億円)・トリドールHD(約2,682億円)・サイゼリヤ(約2,567億円)・くら寿司(約2,451億円)・吉野家HD(約2,050億円)などが続きます。コロワイド系の上場子会社(アトム7412・カッパ・クリエイト7421)もあり、資本関係でつながる企業群もみられます。
市場規模推移
2010-2023 · 給食主体部門 + 料飲主体部門外食産業の市場規模の推移(2010-2023年、兆円)
| 年度 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 給食主体部門(兆円) | 18.76 | 18.13 | 18.57 | 19.12 | 19.55 | 20.26 | 20.43 | 20.69 | 20.79 | 21.25 | 15.55 | 14.92 | 17.14 | 20.28 |
| 料飲主体部門(兆円) | 4.73 | 4.70 | 4.65 | 4.89 | 5.07 | 5.15 | 5.02 | 4.99 | 4.94 | 5.01 | 2.67 | 2.10 | 2.96 | 3.87 |
| 合計(兆円) | 23.49 | 22.83 | 23.22 | 24.01 | 24.61 | 25.41 | 25.46 | 25.68 | 25.73 | 26.27 | 18.21 | 17.03 | 20.10 | 24.15 |
| 前年比 | — | -2.8% | +1.7% | +3.4% | +2.5% | +3.2% | +0.2% | +0.9% | +0.2% | +2.1% | -30.7% | -6.5% | +18.0% | +20.2% |
外食産業の市場規模は24兆1,512億円(2023年、狭義)で、前年から+20.2%伸び、新型コロナ前の2019年(約26兆円)の9割超まで戻りました。給食主体部門が20兆2,793億円、料飲主体部門が3兆8,719億円で、料理品小売業(中食)を加えた広義では約32兆円規模です。
ただし2025年の会員社全店データでは売上が前年比107.3%なのに対し客単価は104.3%で、回復の主因は客単価の上昇(値上げ)にあり、客数が頭打ちの業態もみられます。
外食のコストは食材費と人件費を合わせたFLコストが中心で、近年はいずれも上昇しています。最低賃金は全国加重平均が1,121円(2025年度、前年度から+66円)へと連続して引き上げられ、人件費の負担が増しています。
加えて円安で輸入食材の価格も高止まりし、各社は価格改定(値上げ)で対応していますが、転嫁が追いつかず利益率が圧迫される構図が続いています。
需要側では家計の外食支出が回復し、二人以上世帯の一般外食は179,992円(2024年)と3年連続で増えました。訪日外国人の飲食費も2兆688億円(2025年)に達し、旅行消費額の21.9%を占めて市場を押し上げています。
一方で食品全般の値上げを受けた節約志向も根強く、外食の頻度や単価を抑える動きと、特別な機会に支出する動きへの二極化が進んでいます。
主要トピック
業界構造
主要プレイヤー / サプライヤー / 流通 / 需要外食産業は事業者数が非常に多く、業界全体を少数の企業が占める構造ではない。市場規模は狭義で24兆1,512億円(2023年)に達するが、ここに上場大手チェーンから地域の個人店までが併存する。供給側は給食主体部門(飲食店・宿泊施設・集団給食、構成比84.0%)と料飲主体部門(喫茶・居酒屋・料亭バー、同16.0%)に分かれる。
主要プレイヤーは業態別に整理できる。総合複数業態ではゼンショーHD(すき家・はま寿司ほか、連結約1兆1,367億円)が突出し、コロワイドやクリエイト・レストランツHDが続く。ファミリーレストランはすかいらーくHD・サイゼリヤ、回転寿司はFOOD & LIFE COMPANIES(スシロー)・くら寿司、ハンバーガー・牛丼は日本マクドナルドHD・吉野家HD・松屋フーズHD、麺・中華はトリドールHD(丸亀製麺)・王将フードサービスなどが代表する。回転寿司や牛丼など特定の業態では上場大手数社への集中がみられる一方、業界全体には多数の中堅企業・個人店が存在する。
資本構造の特徴として、コロワイド(7616)が上場子会社のアトム(7412)・カッパ・クリエイト(7421)を傘下に持つように、M&Aや資本関係でつながる企業群がみられる。共通の課題は、(1)原材料高・人件費上昇(最低賃金は2025年度に全国加重平均1,121円へ連続引上げ)、(2)人手不足と省人化(配膳ロボット・モバイルオーダー・特定技能外国人)、(3)国内市場の成熟を背景とした海外展開とフランチャイズ活用、の3点である。
業界の3大論点
外食産業の市場規模は2023年に24兆1,512億円で、前年比+20.2%と回復が続き、新型コロナ前の2019年(約26兆円)の9割超の水準まで戻りました。料理品小売業(中食)を含む広義では約32兆円規模です。金額のうえでは、コロナ禍で落ち込んだ需要がほぼ回復した局面にあります。
ただし回復の「質」を見ると、2025年の会員社全店データでは売上が前年比107.3%だったのに対し、客単価は104.3%でした。つまり売上の伸びは値上げ(客単価の上昇)が主な要因で、来店客数の伸びは限定的です。業態別では喫茶(売上109.8%)やファミリーレストラン中華(110.2%)が高い伸びを示す一方、回転寿司は客数が前年比96.0%と前年を下回りました。
まとめると、外食市場は名目上はコロナ前の水準に近づいたものの、その中身は値上げによる客単価上昇に支えられており、実質的な需要(客数)の回復は業態ごとにばらつきがあります。物価上昇の局面では、客単価をどこまで引き上げられるか、値上げによる客離れをどう抑えるかが各業態の共通課題となっています。
外食のコストは、食材費と人件費を合わせたFLコストが中心です。人件費の面では、最低賃金の全国加重平均が2025年度に1,121円(前年度から+66円)へと連続して引き上げられており、最低賃金近傍で働く従業員の比率が高い外食業はその影響を強く受けます。食材費でも、円安により輸入食材の価格が高止まりしています。
各社の対応は大きく3つに整理できます。第1は価格改定(値上げ)で、客単価の引き上げによってコスト増を吸収しようとする動きです。第2は省人化への投資で、配膳ロボットやモバイルオーダー、セルフレジの導入により、限られた人員での店舗運営を進めています。第3は人材の確保で、特定技能制度による外国人材の活用などが広がっています。
売上規模で見ると、ゼンショーホールディングス(連結約1兆1,367億円、FY2025)を筆頭に、すかいらーくHD(約4,578億円)、FOOD & LIFE COMPANIES(スシロー、約4,296億円)、日本マクドナルドHD(約4,166億円)などの大手が、こうしたコスト構造の変化に、直営とフランチャイズの使い分けや海外展開を組み合わせて対応しています。価格転嫁・省人化・出店戦略のバランスが、各社の収益性を左右する局面が続いています。
訪日外国人の旅行消費額は2025年に9兆4,549億円(前年比+16.4%)と過去最高を記録し、そのうち飲食費は2兆688億円で、旅行消費額の21.9%を占めました。飲食費は宿泊費(36.6%)、買物代(27.0%)に次ぐ第3位の費目で、外食産業にとって重要な需要の押し上げ要因となっています。
国籍別の旅行消費総額では、中国(21.2%)、台湾(12.7%)、米国(11.8%)、韓国(10.5%)、香港(5.9%)の上位5か国・地域で全体の約62%を占めます。飲食費でも中国・韓国・台湾からの訪日客の支出が大きく、観光地や都市部の飲食店が恩恵を受けやすい構造です。
ただし、インバウンドの飲食費は旅行消費全体の約2割で、外食産業の市場規模(狭義24兆円)と比べると規模は限定的です。恩恵は観光地・都市部や特定の業態に偏りやすく、全業態に一律に及ぶわけではありません。家計の節約志向が続くなかで、インバウンド需要をどの業態・地域が取り込めるかが、今後の成長の差を生む要因となります。
よくある質問 (FAQ)
外食産業の市場規模はどのくらいですか?
「狭義の外食」と「広義の外食」は何が違いますか?
売上が最も大きい外食チェーンはどこですか?
業態別ではどこが伸びていますか?
最低賃金引上げは外食にどう影響しますか?
配膳ロボットはどこまで普及していますか?
インバウンドの飲食消費はどのくらいですか?
中食(惣菜)とは違うのですか?
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